近年(1990年以降)の強制連行否定論の歴史を概観する

 

 

産経新聞や『正論』『WILL』『hanada]』『諸君』『voice』『sapio』『文芸春秋』『文春』『新潮』など、右派言論人の発表の場である右派月刊誌・雑誌には様々な主張がなされているが、掲載価値がないものは割愛させていただき、代表的なものだけを掲載した。

 

特徴1)

事実関係について資料や証言をまるで使わないが、断言する(知らないのかも知れないし知っていても無視するのかも知れない)

わずかでも資料を使っているのは、西岡力 岡田邦宏 水間政憲 杉本幹夫くらいだろうか

しかし使っている資料は少なく、被害を受けた韓国人の証言はほぼ使っていない。(岡田は『百万人の身世打鈴』から少し引用有り)同時に日本人の証言(目撃譚)もほぼ使っていない。

 

特徴2)

資料は知らないが「強制連行という歴史の捏造」「酷いでっちあげ」「朝鮮人強制連行慰安婦問題を捏造した」などの攻撃的言動が多い

 

特徴3)

「そ の 多 く は 自 発 的 に 来 日」論は、名越二荒之助の『日韓2000年の真実』『[検 証 ] 強 制 運 行』で勝岡寛治 が使用して以来、西岡や岡田、黄文雄らによって継承されている。『反日種族主義』ではp68~p69等に、イウヨンが使用している。

 

特徴4)同じ資料しか使わない

例えば西岡力は、1992年の『日韓誤解の深淵』朝鮮人徴用工の手記』を使って以来、必ずと言っていいほどこの著作を使っている。

以下

2005.6 『日韓「歴史問題」の真実 「朝鮮人強制連行」慰安婦問題」を捏造したのは誰か』

2014.11 朝日新聞「日本人への大罪』

2018ー114  西岡力「朝鮮人戦時動員に関する研究(2)、手記の検討」歴史認識問題研究』第3号、徴用工特集「朝鮮人戦時動員に関する研究」

2019-2 『歴史を捏造する反日国家・韓国』

2019-3 『正論』増刊「歴史戦 虚言の韓国 捏造の中国」西岡力 櫻井よしこ

2019.4 『でっちあげの徴用工問題』

などで使われており、同じ主張を繰り返している。

もう一つの資料『逃亡セル集団移入半島徴用工員の諸行動に関する件』と言う内務省資料の「金山正損の手記」(『在日朝鮮人関係資料集成第5巻』p50-53)も、(『日韓誤解の深淵』以外で)多く使われている。

 『日韓歴史問題の真実』、『朝日新聞「日本人への大罪』、『正論』2019-3増刊「歴史戦 虚言の韓国 捏造の中国」等では、『逃亡セル集団移入半島徴用工員の諸行動に関する件』の「金山正損の手記」の引用元を『在日朝鮮人関係資料集成第4巻』にしていた。

正しくは「第5巻」であり、『歴史認識問題研究』の論文では是正されていた。

 

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 ●1990 新井佐和子 「サハリンの韓国人はなぜ帰れなかったのか」 (一筋縄では行かない日韓問題<特集>) 現代コリア   (通号 303) 1990-07 

新井佐和子の論文一覧 (西岡に影響を与えている)

https://docs.google.com/document/d/e/2PACX-1vRLfq6zjHgkJFkWipmd7IHAXHsyDVB8AFmiTjG-a5bpHpUvQqa-x8xvf7gTI9uzsDSlAwfRPF-KxeNi/pub

 

 

  • 1992-8 西岡力『日韓誤解の深淵』

強制連行 「厚遇だった」 「日本人も強制連行された」

朝鮮人徴用工の手記』忠海(チョンチュンヘ)(1990初版)

https://docs.google.com/document/d/e/2PACX-1vTxqLDClairTQp-Q_GU4VJcIrY9O42C0PZ9q6PGJ5BYtL-OiTbSUYrqX-czC6Iep4cY0So8-IVzPCqV/pub

 

 

 

  • 1997 『日韓2000年の真実』名越二荒之助(なごし ふたらのすけ)編著 p400~401

『[検 証 ] 強 制 運 行』【勝岡寛治 】

「そ の 多 く は 自 発 的 に 来 日」論

https://docs.google.com/document/d/e/2PACX-1vTIb2iaK5rNHlBAYhKLwRHIxoHdTbpDkj7I09P8KI1jzp4AdzvDg6F32RWZ0Ed9S-ElQKHY_64WS9AI/pub

 

   メモ)   勝岡寛治『抹殺された大東亜戦争』他

   勝岡寛次明星大学) 『教科書が教えない歴史』2「復讐劇だった

   山下・本 間裁判」、3

  『祖国と青年』(日本青年協議会【45年】橿原かしはら神宮 三島由紀夫 

   葦津珍彦)64 (1983~)

  「歴史認識問題研究会」事務局長 事務局次長は長谷亮介

 

  • 2000-8~11『月曜評論』(ミニコミ誌2004年8月号廃刊)

西岡力「韓国・朝鮮講座③~⑥朝鮮人強制連行説の虚構」上 中 下

     ↓

   「慰安婦問題」を捏造したのは誰か』 PHP研究所 

  「すべてはウソから始まった。韓国の「反日」を煽る日本のメディア」

「大統領が「賠償」という言葉を持ち出したことは1965年以来の日韓友好関係を否定することを意味し、また「朝鮮人強制連行」「慰安婦問題」など事実に基づかない歴史議論が拉致問題解決をも妨害しているからだ。そうした「反日」議論を煽ってきた人々の嘘八百の言説を論破する。」

https://docs.google.com/document/d/e/2PACX-1vQq2hCrMVWxCYJ3Ikt7Eq2mbIZi1Fie4YvYjHr5UokyPBNm_DokhbSE_czL32eQZGED-BOLpvsQKTGl/pub



  • 2002 杉本幹夫『日本支配36年 「植民地朝鮮」の研究 謝罪するいわれは何もない』

「平成九年発行の大阪書籍の中学教科書∫では 、 強制連行の様子とし〈町を歩いてい る者や 、 田んぼで仕事をしている者など手あたり次第 、 役に立ちそうな人は片っ端から 、 その ままトラックに乗せて船まで送り 、 日本に連れてきた 。 徴用と言うが 、 人さらいですよ〉と記 載されている 。 これは明らかな犯罪である」

「しかし終戦の日の直後に各地で起きた、朝鮮人徴用工の暴動は、彼らの労働条件の苛酷さを物語るもので、遺憾に堪えない」

「強制連行されたと言われる人の実態の例を示す 。 忠海チョンチュンヘは四四年一一月徴用令状を受け取り」「東洋工業の待遇が特別良かったのであろう」

「金正三は・・・逃亡を幇助・・拷問を受け・・」

「強制連行とはいやがる人間を力ずくで連れていく事である。日本のマスコミや高名な学者が、徴用令による徴用を強制連行と呼んでいることは明らかに間違いであり、許せない間違いであ る 。 まして官斡旋は決して強制連行ではない。官斡旋や徴用令の場合、徴兵と同じように出頭する時間、場所が指定され自発的に出頭したのである」



<伊藤 哲夫は日本会議常任理事(政策委員)元生長の家チャンネル桜の開局記念番組で安倍と対談し、しきりに安倍を「保守革命のリーダー」と持ち上げていた>

 

「『募集』期間に相当する昭和十四年から昭和十六年の二年間で 、 内地渡航した朝鮮人は約百七万であるのに対して 、そのうち『募集』制度に則って内地に渡航した朝鮮人は約一四万七千人にすぎない。つ まり 『募集』以外に約九十二万人もの渡航者がいたのである」。この流れは「斡旋」「徴用」の時期についても変わらなかった。「戦時動員と平行して 、かくも膨大な朝鮮人が自らの意思で日本に渡航して いたわけであり 、 この事実を踏まえれば 、 嫌がる朝鮮人を無理やりに日本に連れていったという『強制 連行』イメージは明らかに虚像とごわぎるを得ない」(p 15-16)

https://docs.google.com/document/d/e/2PACX-1vR3eYOGCJpO7si5a60WMYMGk_Ym4qO6C1qJmgEEhm7reSmATEgD1Cf0cU48iJwxmwWytjzsPWo2Q2VE/pub



  • 2004.6鄭大均テイ タイキン『在日・強制連行の神話』

 

  •   KK『東アジア反日トライアングル』古田博司はこれに依拠している

   「戦時中 労務動員で日本に来た者は戦後ほとんど帰還しているというこ

   とを実証した。したがって強制連行は無かったのである」p114

  私の反証)  『朝鮮人強制連行の記録』パク・キョンシクには

  「一九四五年八月一五日・・・・・朝鮮人労働者は懐しい故国に向って先を

   争って帰国した。・・・・こうして八月一五日から一一月三○日までに自

   発的、集団的帰国者五二万五、○○○名を数えた。」(p98)

   と書かれている。 大多数が帰国したのであり、この事は金賛汀の『証言

   朝鮮人強制連行』(1975)でも、

   「進駐米軍も、朝鮮人強制連行者を帰国させる以外にこの混乱を収拾す

   る方法がないことを認め、彼らの帰国が再開された。・・・強制連行者の多く  は、この時期に

   帰国した。」(p121~122)と書かれている



  • 2005-5 黄文雄 こうぶんゆう 『韓国は日本人がつくった』で取り入れているが、1997年の『捏造された日本史』には書いていない。

「強制連行という歴史の捏造」p141「あまりに酷いでっちあげ」

デマ「日韓基本条約が締結されたこの65年当時、強制連行のみならず慰安婦についても話題になっていない」p142

(昭和40年10月28日の衆議院の横路節雄質疑で椎名悦三郎は戦時中、役人をしていた椎名は、九州の炭坑を回って歩いたという。そして「その当時、たくさんの韓国の青年が強制労働をですね。それに狩り出されて、そして炭坑に配置された、・・・・・」

 

「強制連行者は・・過酷な労働を強いられた。そこでは慢性的な食料不足で、餓死者の死肉まで争ってむさぼり食った、と言う話は日本の雑誌などでよく見る」p142

 

「自ら希望して日本列島に殺到したのだ」p144

「1942年から官斡旋がはじまった。これは強制ではなく斡旋に応じたければいいし、転職も自由だった」p147

いくら規制しても朝鮮人はみずから希望して日本列島に殺到したというのが歴史の真実だ」p147

 

「左翼は・・・強制連行や従軍慰安婦などを捏造して反日・反政府活動の材料として在日を徹底的に利用したんだ」

 

オビの宣伝文「反日マンガとは偏った歴史観に基づいた反日的なイデオロギーがにじみ出ているマンガ。グルメ漫画の中に突然出てくる「日本人は朝鮮人を強制連行したんだ」といったセリフが、知らず知らずのうちにあなたの心を蝕んでいく。」

中宮祟による雁屋哲批判

「今では完全に否定されている筈の強制連行神話が堂々と吹聴されている」

 

「強制連行どころか密航までして日本を目指した朝鮮人

「あまりの渡航希望者の多さに取り締まりを緩和」

 

2014年、この年各地で「強制連行」追悼碑や史跡説明を撤去しようとする動きが活発となる

 

 

 

  • 2017.3 李宇衍イ・ウヨン『戦時期日本へ労務動員された朝鮮人鉱夫(石炭、金属)の賃金』エネルギー史研究 / 九州大学記録資料館産業経済資料部門 編 (32):2017.3

 

   2017-4-11産経新聞【歴史戦・第17部新たな嘘(上)】[韓国で染みついた

   「奴隷」イメージ 背景 に複雑な賃金 計算法 「『意図的な民族差別』

   事実と異なる」韓国人研究者が結論]   https://www.sankei.com/politics/news/170411/plt1704110003-n6.html

  「なぜ当時の炭鉱では「奴隷のように朝鮮半島労働者が働かされていた」とする

   イメージが作られたのか。」

  「「朴慶植の研究を本格的に否定した画期的な論文だ」と、李の論文に目を

  通した九州大教授、三輪宗喝采を送る。三輪は朴らのように強制連行を

  主張する研究者に対して、自身を含め、炭鉱労働に詳しい専門家たちが

  「触らぬ神にたたりなし」とばかりに表だって反論を控えていた過去に負い目を

  感じていた。三輪も多くの統計を調べたが「民族差別的な賃金体系などな

  かった」と語る。ただ、三輪は李の論文をもって、労務動員をめぐる韓国

  の“日本批判”は収まらないとして、次のように語る。 「韓国は学界でさえ、道

  義的なイデオロギーに支配されがち。李の研究がまっとうでも、自分たちの主

  張と違えば、資料そのものが間違っていると言いかねない。歴史を操る行

  為は、まさに当時を生きた人を愚弄する行為だ

  

  指摘)産経は賃金をもらっていた事をもって「奴隷ではない」と言いたいようだが、奴隷の中には賃金を得ていた者もいた。またオーストラリア連邦最高裁判所の2008-8-28の性奴隷判決でも女性たちは報酬を得ていた。「5人のタイ女性たちが」「債務返済のためにメルボルン郊外で、週6日4ないし6か月間に各自900人にのぼる顧客相手に性行為を強いられていた事件。彼女たちは売春宿に施錠されて閉じ込められていたわけではなく、(阿部浩己(神奈川大学大学院法務研究科教授の意見書2014-11-5/吉見裁判)

 

「歴 史 を 忘 れ た 民 族」 「(釜山の)国 立 日 帝 強 制 動 員 歴 史 館 」「日本によつて行われた強制動員 の惨状を国民に広く知らしめ、正し い歴史意識を鼓舞し、人権と世界平 和に対する国民教育の場を提供する ことを目的に設立」「さすが儒教大国である。正「しい歴 史認識を鼓舞」「人権と世界平和」「平 和と人権の歴史」という大義名分をう たう文句が踊っている。」「労務動員」では「日本の国家権力が 法令を根拠に公権力を動員し、政策 的・計画的・組織的・集団的・暴力 的に植民地民族を様々な産業現場に 労務者として動員した行為」を指すと して 、 「7 、554 、764人(重複 動員も含む)以上の朝鮮人を動員しま した景写真2)と´記述されている」「炭鉱」の下には「切羽の 過酷な労働」「炭鉱から無事に帰ってき た人は数少ない」「日本軍慰安所」の 下には「埋もれてしまった事実クただ 心からの謝罪の言葉を聞きたいだけ なのに」と書かれ 、 「時代の鏡」の下 には「強制動員―癒えない痛みの記憶 歴″史を忘れた民族に未来はない」と付記されている 。

二点だけお灸をすえさせ ていただく 。 「歴史をごまかす民族に 未来はない」と私は言いたいからだ 。 まず 、「炭鉱から無事戻ってきた人は数少ない」とあるが 、 明らかな嘘」

「石炭統制会 の作成した統計資料(茨城県立歴史館 所蔵)では 、 労務者の日本人と朝鮮人 労働者の死亡率は殆ど差がない 。」「この事実は 、 産経新聞(2016年4月3日)が報じている 。 記事に よれば 、 この写真は 、 旭川新聞の大 正一五年五月九日の道路工事現場の 日本人労働者であると説明されている(写真5) 。 思い込みとは恐ろしい ことである 。」

私 は 九 州 大 学 に 赴 任 し た 平 成 十 六 年 以 降 、 資 料 に あ た っ て き た が 、 内 地 人 と 半 島 居 住 者 の 間 に 賃 金 の 区 別 が あ っ た と 示 す 資 料 は 見 当 た ら な い

ビルマ慰安婦従業員日記』を李栄薫教授が発見し 、韓国で刊行され た 。ネットで日本語仮訳を読むこと も可能だが 、 安乗直・ソウル大学名 誉教授の解説には違和感を覚えて 、その旨を本来であれば解説を書くべきであった李栄薫にメールで伝えたことがある

元朝日新聞記者で朝鮮語に堪能であった田中明は『朝鮮断想1984草風館)の「ソウルに触発された断想」の中で 、 韓国が「現在のように日本原産の武器 お(おむね左翼系の)をもって日本を 攻撃している限り・・」

田中明の『物語韓国人』2001(文春新書)の「おわりに」も紹介しよう 。 「それに『われわれはお前たちからこんなにひどい目に遭ったんだぞ』と日 本に″やられたことを得々と(そう 私には見える)語って 、日本を謝らせようとする行動のスタイルは 、 どう見ても他者の尊敬を得る道ではない 。とくに慰安婦問題はひどかった。従軍慰安婦が政府の強制動員によるも のではないのは 、当時の空気を少し でも吸った人なら 、誰でも知ってい ることであるのだが 、 反日日本人が 編み出したあまたな画策の一つだったこの問題に 、 韓国側がすぐ乗ったうえ 、 かつて慰安婦だった老女まで 動員して運動を″盛り上げ・・・」

 

「韓国で戦時中の朝鮮人徴用工問題が無報酬の強制連行・強制労働であるかのようにねじ曲げられ」

 

 「2つとも、当時の朝鮮人徴用工の姿をよく示す資料なので少し詳しく引用したい。」

  •  『 歴 史 認 識 問 題 研 究 』 第 6 号 (2020年3月19日)では 特集1『反日種族主義』の徹底解剖

 実証研究『反日種族主義』の衝撃       渡辺利夫

 大韓民国の亡国の危機を告発する憂国の書     西岡力

 「朝鮮人強制連行」説に対する、韓国人研究者からの初の反論  勝岡寛次

 

 

 

 

p83~①『在日朝鮮人関係資料集成第5巻』p50-53「逃亡セル集団移入半島徴用工員の諸行動に関する件』の「金山正損の手記」②『朝鮮人徴用工の手記』鄭 忠海(チョンチュンヘ)(1990初版)

 

 

https://docs.google.com/document/d/e/2PACX-1vSJMlw3nG3r9Oe_dZTWiHSUyoZQ4NO7RNzgG8kncFfFjLqIV11glXtLuQvP5EN1CKzjpilIHxr1U4U1/pub



  • 2019.4西岡力『でっちあげの徴用工問題』

https://docs.google.com/document/d/e/2PACX-1vT8MrNRHBljd2y9GlJZh8ELLXgqgK_vID4T8Ihg1JxAHZ2K3HERMrHiiLKi6_RbCLsO2IH_cFQrWRis/pub